Bob Stuartが英国王立工学アカデミーのフィリップ王子勲章を受賞

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Bob Stuartが英国王立工学アカデミーのフィリップ王子勲章を受賞

Bob Stuart Royal Academy of Engineering Award

MQA創設者の革新的な実績に対して名誉ある賞が授与されました

2020年9月14日、ロンドン – MQAの開発者でMeridian Audio共同創設者であるBob Stuartは、「音楽の聴き方や映像鑑賞に変化をもたらしたオーディオエンジニアリングへの卓越した貢献」に対して、英国王立工学アカデミーのフィリップ王子勲章 (Royal Academy of Engineering Prince Philip Medal) を授与されました。同賞の20年の歴史において、オーディオエンジニアの受賞はスチュアートが初めてとなります。

過去には、ターボジェットエンジンの発明者である空軍士官Frank Whittle卿、地熱活用に取り組んだLucien Bronicki氏、光ファイバーに革命を起こした電気エンジニアであるCharles Kao博士などが受賞しています。

英国王立工学アカデミーの上級研究員であるエディンバラ公フィリップ王配殿下の名を拝したフィリップ王子勲章は、国籍を問わず、工学の分野において実践、管理、教育を通じて卓越した貢献を行ったエンジニアに授与されます。

受賞にあたり、Bob Stuartは次のように語っています。「オーディオエンジニアリングは、アナログエンジニアリングとデジタルエンジニアリング、音楽、そして人間であるリスナーとが交錯する分野です。優れたサウンドの録音と再生を可能にしたいという私の願いの実現には、数々の学術的なアプローチが求められましたが、音楽の質を落とすことなく人々と共有できるようになるまでの道のりは、非常に充実した大切な時間でした。英国王立工学アカデミーからこの素晴らしい賞をいただいたことは光栄であり、身の引き締まる思いです。」

多くのグラミー賞を受賞している伝説のマスタリングエンジニアであるBob Ludwig氏(1)は次のように述べています。「Bob Stuartが他のエンジニアと違うのは、工学と音楽を熟知しているという点です。マスタリングエンジニアのように音楽がどのように聞こえるかを理解しているため、理論や技術に振り回されることがありません。音に納得がいかなければそのやり方をすぐに却下し、自分が求めている音を実現するため別の方法を追求します。MQAの新技術により、デジタルコンポーネントによって不明瞭になりがちだった音もはっきり聞き取れるようになりました。ミュージシャンとして、その技術を使って自分の作品を聞けることがとても嬉しいです。」

グラミー賞受賞歴のあるプロデューサー兼エンジニアのMorten Lindberg氏(2)は次のように述べています。「MQAを発明および開発したBobは、世界中のオーディオエンジニアと音楽プロデューサーに対して、総合的な視点を持ってデジタルオーディオに取り組むという発想とツールを提供してくれました。神経科学、心理学、先端物理学とオーディオエンジニアリングを組み合わせた学術的な研究により、デジタル領域で優れたアナログ品質を維持する音楽制作が可能になりました。Bobはプロとして求められる以上のレベルを実現する人物であり、仕事でもそれを実践してくれています。」

卓越したプロデューサー、発明家そして指導者でもあるGeorge Massenburg氏(3)は次のように述べました。「数十年間にわたって、現代のデジタルオーディオ研究は時代遅れの常識によって混乱をきたし、空虚な目標や商業的圧力に振り回され、科学および聴覚認知分野で遅々として進歩しない知識によってその正常な進化を阻害されてきました。Bob Stuart氏はこれらの課題を何度も克服してこられました。長年にわたってBobが成し遂げた功績は、透明感のある最高品質の音楽のレコーディングとその再生という大きな目標に全身全霊で取り組む、優れた研究者だけが実現できることです。」

プロデューサーの仕事は、アーティストのビジョンと意図をリスナーに届けることです。私たちの作品を共有する能力は、終わりが見えない音質の「劣化」により、過去30年間に大きく損なわれてきました。そのため、音のニュアンス、複雑さ、サウンドステージ、ディテールを忠実に再現し、ベールを取り払ってくれるMQAの性能と技術には大きな感銘を受けました。 自分の作品を熱狂的なオーディエンスがもう一度楽しむ姿を想像することで、スタジオに戻る気力が生まれます。 Bobが開発したMQAは、音楽業界に多大な影響を与えたと心から感じています。」

MQAの背景

2012年、Bobは、デジタルオーディオのキャプチャ、レコーディング、配信および再生において、音質を落とさずリアルでナチュラルなサウンドを再現するため、より効率的で優れた技術の開発に取り組むことを決意しました。これは広範囲にわたる分野の研究が求められるプロジェクトでした。その結果、20年間にわたる研究と、聴覚科学および信号処理の最新の知見によって実証された革新的な技術を生み出しました。数年間にわたるレコーディング業界との密接な協力の後、2014年12月にMQA (Master Quality Authenticated)を発表しました。MQAはサウンドのすべてのエレメントとニュアンスを記録し、マイクロダイナミックや空間的情報を保存する時間的ディテールの再生を非常に正確に行うため、リスナーはよりリアルな音楽を楽しむことができます。

ロッシー符号化 (音源情報の最大90%が消去される) や従来のデジタル (高解像度レコーディングではデータ容量が大きく効率が悪い) とは異なり、MQAは独自の折り紙技術を使い、あらゆる情報を効率的に録音に詰め込みます。この小さいファイルは動画の有無を問わず効率的にストリーミングが可能となり、現代のあらゆるリスニングシーンで楽しめる最高品質のレコーディングという新時代を実現します。MQAデコーディング機能を備えたデバイスやアプリは、折り畳まれている情報を「開いて」オリジナルマスターの解像度を楽しむことができます。また、そのファイルがレーベルの最終的なマスターレコーディングであることを確認する手段にもなります。一流のレコードプロデューサーやマスタリングエンジニアからも支持されているMQAの革新的な技術は、アーティストやレコードレーベルにも採用されています。Sony MusicWarner MusicUniversal Music、およびマーリン(独立系レーベル)はライセンスパートナーであり、MQAを採用する音楽はこれからも世界中で増えることが予想されます。また、MQAは世界中の優れた音楽ストリーミングサービスと提携しています。

この技術は、放送、ライブストリーミング、ビデオオンデマンドの分野で革新的な成果が実証されており、幅広い用途に対応します。MQAがあれば、オーディオのリスニング体験を大きく変えることができるのです。

Bob Stuartの経歴

Bob Stuartはバーミンガム大学で電気工学と音響学、インペリアル・カレッジ・ロンドンでオペレーションズ・リサーチを学びました。1972年、ケンブリッジシャー州のスタートアップ企業Lecson Audioで働いている時に工業デザイナーのAllen Boothroyd(アレン・ブースロイド)と出会いました。二人のデビュー作であるLecson AC1/AP1はデザインカウンシル賞を受賞しました。その後BobとAllenはデザインカウンシル賞を計3回受賞しており、40年間にわたってパートナーとして活動しました。

1977年にMeridian Audioを共同で設立し、2015年初めまでCTOを務めました。

2014年、現在も会長およびCTOを務めるMQA Ltdを設立。Meridian Audioでは、高品質アナログとデジタルオーディオ、ビデオ技術のレベルを押し上げました。人の聴覚科学に対する強い関心を持ち、音楽の視聴体験を向上させるという目標に向かって長い間熱心に取り組み続けてきました。

1990年代にBobがリーダーを務めたチームはオーディオのロスレス圧縮技術を開発し、業界で導入されました。2000年、MeridianのMLPロスレス音声符号化技術がDVDオーディオに標準装備され、ドルビーラボラトリーズに買収された2005年にはブルーレイに採用されました。製品デザインにおける革新には、世界初のコンシューマーデジタルDSPサラウンドスピーカー、オーディオファイル向けCDプレーヤーがあります。BobとMeridian Audioは、McLaren P1スーパーカー、ジャガー・ランドローバーの多くのモデルのサウンドシステムや、フェラーリのオールインワンデジタルオーディオシステムF80の開発にも携わりました。

Bobはこれまでの長い間、調査、研究、指導を続け、オーディオエンジニアリングに関する重要な論文もいくつか発表しています。オーディオ・エンジニアリング・ソサエティのフェローであり、アメリカ、日本、イギリスの技術委員会の委員も務めています。

今回のフィリップ王子勲章の受賞は、オーディオエンジニアリングの世界におけるBobの継続的な卓越した貢献が認められたものです。

フィリップ王子勲章

1989年、英国王立工学アカデミーの上級研究員であるエジンバラ公フィリップ王子は、ゴールドメダルの授与を「実践、管理、または教育を通じて工学全体に卓越した貢献をしたあらゆる国籍のエンジニアに定期的に授与する」ことに同意し、フィリップ王子勲章と名付けられました。授与は2年ごとに行われます。
英国王立工学アカデミーは、持続可能な社会とすべての人々のための経済を構築するため、工学の発展に取り組んでいます。アカデミーのフェローおよびパートナーが協力し、未来に活躍する才能の育成と技術の開発、革新の推進、グローバルパートナーシップの構築、政策への関与、および民間への取り組みを行っています。現代における最大の課題に取り組むため、これからも様々な取り組みを続けていきます。

編集者注

フィリップ王子勲章:1989年、英国王立工学アカデミーの上級研究員であるエジンバラ公フィリップ王子は、ゴールドメダルの授与を「実践、管理、または教育を通じて工学全体に卓越した貢献をしたあらゆる国籍のエンジニアに定期的に授与する」ことに同意し、フィリップ王子勲章と名付けられました。授与は2年ごとに行われます。

英国王立工学アカデミー は、持続可能な社会とすべての人々のための経済効果を構築するため、工学の発展に取り組んでいます。アカデミーのフェローおよびパートナーが協力し、未来に活躍する才能の育成と技術の開発、革新の推進、グローバルパートナーシップの構築、政策への関与、および民間企業などへの支援への取り組みを行っています。現代における最大の課題に取り組むため、これからも様々な取り組みを続けていきます。

Bob Stuartのこれまでの受賞歴:
1974 Design Council Award(4) - Lecson AC1/AP1
1982 Design Council Award - Meridian 100 Series
1986 Design Council Award - Meridian 200 Series
1996 Greatest Individual Contribution to Hi-Fi Award – Hi-Fi News & Record Review
1996 Outstanding Industry Contribution Award – CETI
1996 Audio Engineering Society (AES) Fellowship Award
1999 Personality of the Year – Home Cinema Choice magazine
2015 Lifetime Achievement Award – (CEDIA)
2016 Lifetime Achievement Award – Rocky Mountain International HiFi Press Awards
2016 High-End Audio Hall of Fame – The Absolute Sound magazine.

MQA受賞歴:
2015 + 2016 Innovation Award – Rocky Mountain International HiFi Press Awards
2016 Special Award – British Engineering Excellence Awards
2018 Special Award – HiVi Grand Prix (日本)

= = = = =

(1) Gateway MasteringのオーナーであるBob Ludwig (ボブ・ラドウィック)氏は、グラミー賞11回、TEC賞を複数回、およびAESゴールドメダルを受賞しています。これまで数多くの一流アーティストとのプロジェクトに参加しており、現在も第一線での活躍が続いています。また、ザ・レコーディング・アカデミーのプロデューサーズ・アンド・エンジニアズ・ウイングで講師を務めています。

(2) Morten Lindberg (モートン・リンドベルグ)はグラミー賞を受賞したノルウェーのサウンドエンジニア兼プロデューサーです。同氏の2Lレーベルは、最高音質のクラシック音楽とジャズを専門に扱っています。2LはMQAを2014年に採用し、その技術を早くから評価してきました。

(3) George Massenburg(ジョージ・マッセンバーグ)氏は、McGill University (マギル大学)のサウンドレコーディング准教授およびビデオ制作ディレクター、Berklee College of Music (バークリー音楽大学)の音楽技術の非常勤教授を務めています。米国議会図書館の全米録音資料保存委員会、AESのフェローおよびゴールドメダリストでもあります。これまでに数多くの作品でプロデューサーやエンジニアを務め、グラミー賞を3回、グラミー賞特別功労賞技術賞を1回受賞しています。

(4) エジンバラ公賞エレガントデザイン部門

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